狂牛病(ウシ 海綿状 脳障害)
対策レポート


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牛の部位別安全度、牛由来の食品類などの使用部位が載っているので、実用的。
なお、このレポートは、する氾濫細切れの情報を系統的にまとめ、不必要な混乱や誤解を排除し、BSEについて正しく理解する縁となることを意図したものです。


●BSE=狂牛病=牛の海綿脳症●

 牛の脳細胞のなかにある蛋白質「プリオン」が「異常型」に何らかの原因で変化し、「増殖」し「スポンジ状」になる病気のこと。
 1980年代末(発見は1986)から1990年前半にかけ、イギリスで猛威をふるい、2001年初頭にフランスなどに広まっていた病気である。潜伏期間は2〜8年で発症した牛の平均年齢 は、4〜5歳となっている。

●プリオン●

 「健康なヒトやその他哺乳類の脳には何十億という正常なプリオンが存在する。プリオン」とは全ての哺乳類が共通の「蛋白質」である。つまり「プリオン」はウイルスや細菌の類ではないので、RNAやDNAは持たない。故に生物ではない。しかし、なぜかこの「プリオン」の異常型である「異常型プリオン」(以後異常プリオンとする)は「増殖」する。「プリオン」が「異常プリオン」となる「自己増殖」のメカニズムはウイルスや細菌などの概念では説明ができない。異常プリオンは蛋白分解酵素に対し耐性があるので、サンプル検査は分解されない蛋白質が検出されたかを見る場合もある。
「異常プリオン」と「正常型プリオン」の差は、*1蛋白質の立体構造の差であるという。つまり蛋白質のアミノ酸配列は全く同じなのである。これは連鎖反応であり、三次元で見た正常プリオンの折りたたみ方(立体構造)が変化することによる。蛋白質構造の変化と疾患の出現とにこのような関係がみられるのは初めてのことである。また、異常プリオンは*2「蛋白質分解酵素」が働かず分解されずに潜伏し、3〜8年経ると、その鋳型を転写して「正常型プリオン」を次々と異常プリオンに変えてしまう。異常プリオンが周囲の「正常型プリオン」の高次構造を次々と変化させていく「ドミノ現象」のおこるきっかけやその様子については未だ未解明である。病気の進行の具合が動物により異なることから、プリオン蛋白の分類が待たれる。

なお、病原性プリオンは細胞中でも容易には分解されず、高温・高圧下でも病原性を失わないという。故に、これといった治療法がないのが現状である。
この語句の使用について注意がある。問題になっているのはあくまで異常プリオンであり、プリオン自体は、普通に哺乳類が保有する蛋白質である。その働きは精確にはわかっていない。また脳の空洞がどのようにしてできるのかは分かっていない。
ただ、正常プリオンの構造に関しては、重要な部分は解明されており、今後の全体解明が待たれている。

*1一次構造は等しい。高次構造が正常型が螺旋状であるのに対し、異常型は飛騨付きシート型をしている。
*2その他ホルマリンやプロテアーゼ、紫外線、核酸分解酵素び対して耐性をもっている。また次亜塩素酸ナトリウムやフェノール、過ヨウ素酸などの消毒剤にもずっと抵抗性があり、熱に対してもかなりの耐性を持っている。(100℃の高熱にも耐える。感染性を失わせる方法として、高温蒸気・アルカリ性薬品を用いる方法がある)


●羊のスクレイピー→牛の海綿脳症→人のクロイツェル・ヤコブ病の疑い●


 この病気は哺乳類に感染していること、感染は異常プリオンによることなどが一致しているが、今のところ、人との関連に関しては何らかの関係があるのではないか...というレヴェルである。つい最近、老人性ヤコブと狂牛病の遺伝子系が一致したとの報告もある。イギリス政府も、関連があることは認めている。
また、突如、羊が狂牛病の牛の脳を食べれば感染する可能性も否定できないことが明らかにされ、羊の生肉から作った飼料を牛に与えると、狂牛病になることはわかっている。
牛のプリオンと羊のプリオンは264のアミノ酸のうち、僅か7個が異なるのみである。ヒトとは22個も異なるので一応の安心材料と言えるだろう。単純計算では確率は1/1000になる。しかしプリオン研究の第一人者は「重要な領域でウシプリオンの一部がヒトプリオンと同じ配列にそっくりかわってしまうかもしれません。そうなれば、全アミノ酸配列の単純比較から考えられるよりも、危険は大きくなります」と言う」。

●狂牛病にかかった牛はどんな症状がでるのか●


神経が侵されるため、急に性格が変わる、光や音に過敏になる、異常な動作を繰り返す、歩き方がおかしくなる、暗いところに入りたがらない、溝や段差を越えたがらない、筋肉の震えがある、攻撃的になるなどの症状がでる。ヨーロッパではこのうち二つ以上に当てはまれば狂牛病と見なされる。発病後は二週間から六ヶ月で死に至る。

●プリオン病●


これに罹ると脳が変性して死に至る。潜伏期はまちまちだが、数年に及ぶものもある。
脳のあちこちに空胞ができ、感染した脳の外見がスポンジに似ていることから、海綿状脳症とも呼ばれる。羊のスクレイピーは250年前に見つかっていたが、当時は原因は不明であった。ヒト(クール病・クロイツフェルトーヤコブ病)、山羊、ミンク、鹿、箆鹿、猫科動物などに関しては発見済み。狂牛病は1986年イギリスで発見された。クール病はヒトの脳を食べた事によっていたことがわかっている。ヤコブは1/1000000の割合で発生している人間が感染しているプリオン病でも最大規模の病気だが、1995年、イギリスやフランスで若者でも発症が見られるcvCDJ(CDJはクロイツフェルトヤコブの略称)が見つかり、衝撃が走ったのは記憶に新しい。

●どうやったら感染するのか●


異常プリオンの摂取:経口感染と言われている。ただし、もともと正常プリオンが無い動物には感染しないことが特殊マウスでの実験で明らかにされている。自然発生的又は実験的にプリオン病を発症する哺乳動物の主なものは次の通り。
 

山羊 オラウータン


感染は異常プリオンを含む食品などの摂取による。
異常プリオン含有濃度は神経細胞・神経組織に高く、しかし、他の組織にも、濃度は異なるが見られる。
以下のEUの医療品審査庁のリスク評価を見て欲しい。

分類 感染リスク度              (部 位)
カテゴリー1 高度感染性 @,A脊椎,B
カテゴリー2 中度感染性 C回腸,リンパ節,近位結腸,脾臓,扁桃,硬膜,松果体,胎盤,脳脊髄液,下垂体,副腎
カテゴリー3 低度感染性 鼻粘膜末梢神経骨髄,肺,胸腺,遠位結腸,肝臓,膵臓
カテゴリー4 検出なし 骨格筋,乳汁,凝血,糞便,心臓,肝臓,乳線,卵巣,唾液,唾液腺,精嚢,血清,睾丸,甲状腺,子宮,胎児組織,胆汁骨,軟骨組織,結合組織,毛,皮膚,尿


@ABCは厚生労働省通知でいう危険部位(ただしCは最後の1m)。太字項目は狂牛病感染牛で異常プリオンが見られた部位。免疫組織化学的検査では表れなかったが、マウス実験での病理組織学的研究で蓄積が確認されている部位として肺・胸腺・骨格筋がある。



●牛を原料に含む食品に関して...●



(安全性に関しては、使用部位を上げるので,上記の表とて照らし合わせ,ご自分で判断願いたい。)

コンソメ・ブイヨン

@牛肉抽出エキス(コンビーフ製造時の煮汁)
@ボーンエキス(肉の付着した骨を煮出したもの。部位の特定は無い)

ゼラチン(結構いろんな食品に使用されている)
@骨・皮
コラーゲン
@皮・骨・軟骨・腱などの結合組織
プラセンタエキス
@胎盤
蛋白質加水分解物(原料は大豆のこともある)
@骨・皮
牛骨カルシウム(焼成カルシウム)
@骨 (焼成と未焼成がある。1000℃以上の加熱をする焼成カルシウムはリスクが低いとされている)
牛脂
@背・腹の脂肪層(生成過程で蛋白質は除去)
肉エキス(畜肉エキス)
@コンソメ・ブイヨンに準ずる
牛肉・牛乳
@骨格筋・乳汁

その他、化粧品や医薬品にコラーゲンや焼成カルシウム、カテーテルやカプセルといったものには、ゼラチンが使用されている。

             政府見解


 @AB,C(最後1m)は全て焼却処分

 ■牛の安全部位と加工品

 ●乳と乳製品 ●骨抜き肉

 ●皮から作られたゼラチン、コラーゲン

 ●タンパク質を含まない獣脂



●鳥や豚大丈夫なのか●


発症例は確認されていない。しかし、統計的には安全といえるが、プリオン病は発症に3−8年かかり、鶏はもっと早い年齢に殺して食べてしまうので、発症例が無いだけとの疑念の払拭はできないのが実状。豚をはじめとする他の動物も転換・化学研究の結果、あり得るともいう報告もある。

●油脂は?●


脂肪自体は平気である。ただ精製はするものの、100%ピュアな油は不可能あるから、微量の残留蛋白が強いて言えば懸念材料であるといえる。

●「肉はもともと安全」との発言がありましたが...●


たしかに骨格筋は免疫組織化学的検査では陽性反応は表れなかったが、マウス実験での病理組織学的研究で蓄積が確認されているのは気にはなる。背割りのときに(解体時に)肉や刃に髄液が付着するのではとの懸念もある。(イギリスではそのような感染が見られた)髄液の付着による感染があるとも言われています。一部の国では、脊椎を抜いてから背割りをしているようです。しかし、洗浄はしっかりしてるでしょうし(圧力のかかった水で洗浄しているとのこと)、他の部位よりはかなり安全と言えるでしょう。現場見学を住民にしてもらうようにすれば、安心感がもてるように思います。発言の根拠はカテゴリー4に分類されているから検出されないという点であると考えられます。

●日本の汚染レベルは?●


政府の発言では「世界一安全な国」とのことだが、国際的には“レヴェル3”であると言われている。

汚染レヴェル評価

清浄国 (レヴェル1)
暫定清浄国 (レヴェル2)
低発生国 (レヴェル3)
高発生国 (レヴェル4)

OIE(Office International des Epizooties,World Animal Health Organization)による。


EUの化学運営委員会から今年、狂牛病発症牛発見以前に下された日本の評価は“レヴェル3”

「発生が未確認もしくは僅かに確認され、汚染の危険性がある」という分類である。

因みに、狂牛病の高レヴェルの汚染国であるイギリスは“レヴェル4”である。

●EUの化学運営委員会の評価を日本は拒否したそうですが?●


評価は2001年初頭に警告がありましたが、発生していないのに、厳しすぎる。国民に無用な不安を呼ぶのではということで、評価しなくていいと、お断りしたものである。レヴェル3の根拠は@汚染国のイギリスから肉骨粉を333t輸入していた(後に実は鳥毛粉であったことが分かった)A日本国内で汚染が増幅している可能性があるB発生源を遡れるトレーサビリティー(食卓から生産現場まで追跡可能なしくみ)が構築されていない、という三点である。ヨーロッパではバーコードやロット番号で牛を管理し、店頭で売られた牛肉がどこで加工され、誰がどんな飼料を与えていたか分かるシステムが出来上がっている。厳しいトレーサビリティが構築されていく必要がある。

●食べれば安全だと分かりますか?●


もちろん分かりません。感情的に対応するのはよくないですが、正しい情報を収集し、冷静に判断してください。

●肉骨粉とは●

家畜の飼料として使用される黄色い粉で、食肉用の肉などを切り取った残りの部分を粉にして作られる。このため、牛のいろいろな部位が含まれてしまい、危険部位が含まれ、危険だと言われている。牛の肉骨粉に関しては、国内における家畜の餌としては製造・出荷及び使用を禁止している。

肉粉は、名前は似ていますが、全く別物です。肉粉は食肉用の肉を取る過程で発生する肉片や肉屑を粉末にしたものです。本来は安全であるはずなのですが、肉骨粉と製造過程が接近しており、若干危険視されている。

骨粉は、骨の中にある骨髄の危険性が指摘されています。1000℃以上で灰化処理したものが安全(農水省)とのことです。

政府は「反芻動物以外には安全性に問題なし」との見解のため、一般に、豚・鶏に関してはコストダウンのためいまだに「肉骨粉」が使用されています。「肉骨粉」は魚粉の1/3の安さでしかも高カロリー・高蛋白なので、短期間の飼育で肥育ができる。経済効率の観点から、豚や鶏には広く使われており、それを牛に転用していたのが問題となった。

1950年代から日本でも肉骨粉は牛の資料に使われてきました。牛の場合は安く・高カロリー・高蛋白なので、短期間の飼育で肥育ができるという経済効率だけではなく、霜降肉や脂肪分の高い牛乳を消費者が求めた結果でもあるのです。また、現場では、商品にならない部位の飼料としての使用は、無駄をなくした「一種のリサイクル」でありました。

よく考えれば牛は草食動物。自然の摂理に反した暴挙だったのかもしれません。


                政府見解


             肉骨粉の使用禁止


 異常プリオンが牛の口に入らないようにすれば狂牛病の蔓延は防げる。(母子感染の可能性は不明)そこで肉骨粉や血粉、蒸製骨粉などを牛に与えることを禁止した。

 また、肉骨粉や血粉、蒸製骨粉などを与えたことが確認されている5129頭は焼却処分にした。

 ■狂牛病に対する日本政府の対応

1996/03 イギリス政府が狂牛病が人に感染すると発表

1996/04 イギリスからの肉骨粉の輸入を禁止牛に肉骨粉を与えることを禁止する通達

2000/11 フランスで狂牛病が社会問題化

2000/12 EUからの肉骨粉の輸入を禁止。牛由来の医薬品、医薬部外品、化粧品の規制強化

2001/06 欧州委員会が日本でも狂牛病発生の可能性を報告。農林水産省はこれを否定

2001/09 日本初の狂牛病発生の疑い、と農林水産省が発表。約二週間後に確認。問題の牛は「焼却」と説明。

      四日後になって「肉骨粉になっていた」と訂正発表。牛に肉骨粉を与えることを法的に禁止

2001/10 肉骨粉の流通の一時停止

     




●そもそも何故狂牛病って発生したのでしょう●


O-157、新型サルモネラ、狂牛病は皆、牛の腸の中で発生したと考えられている。
興味深い見方があるので紹介しよう。
◎草食動物へ肉を与えた「共食い」がいけない
◎抗菌剤・抗生物質による耐性菌
内分泌撹乱物質(環境ホルモン)やホルモン剤による
ホルモン剤に関しては発癌性が疑われており、特にアメリカでは残留ホルモン剤を問題視する動きもある。

●検査方法について●


発症した牛のまわりにもBSEプリオンを持ちながら、見た目は正常な牛がおり、これによる感染がイギリスでは見られました。日本の場合は、全頭チェック体制のため、そのような心配は無いでしょう。実際、イギリスでは対策の結果、狂牛病の年間発生数を37280頭(1992年)から1443頭(2000年)まで減らすことに成功しています。

また、日本では年間130万頭の牛が肉になっています。EUでは1000頭に1頭の割合で一次検査陽性が出ています。新たに感染牛が見つかってもあわてないでください。

          政府の見解

           病性鑑定


農場で飼育されている牛で、狂牛病が疑われたり、中枢神経症状が見られるものには、狂牛病検査を含む病性鑑定を行っている。狂牛病に感染していると確認された場合、即座に農場からその牛の出荷停止などの措置が行われる。病性鑑定した牛は、結果に関わらず、全て焼却。病死・事故死の牛も前頭検査へ。

                                                              *生後24ヶ月以上

           全頭検査


全ての食肉処理される牛に対し、全国117カ所の食肉衛生検査所などが狂牛病の検査を実施。感染が確認された牛は全て焼却。一切市場には出回らない。



●治療法は?●


ありません。今後、治療ができるようになるには、長い年月が必要でしょう。まだプリオンに関する研究は1993年HFプロジェクト(HumanFrontierProject)により始まった。メンバーはアメリカのカルフォルニア大学サンフランシスコ校とスイスのチューリッヒ大学、スウェーデンのストックホルムの三チーム。研究はその後様々な団体が行っているが、まだ研究は始まったばかりであり、解明には時間を要しそうである。

●関連リンク●


リンク先について当ウェブサイトの管理人は責任を負いません.(一部英語)
ネイチャー

オーストラリア牛
アメリカ牛
セーフミート
厚生労働省
農林水産省
全農

WHO

OIE

EU

日本獣医会

小山会計公認会計士税理士事務所のBSEリンク集

 びっくりドンキー(参考)


オーストラリア政府声明(要旨)

オーストラリアにおいていかなる病疫も発生することのないよう、また人間や動物に害を及ぼす「可能性」のある物質を一切排除すべく……

オーストラリアの牛は牧草や穀物で飼育しています

狂牛病は1986年イギリスで発見されてから、直ちに対策……

オーストラリアはEUにより最も狂牛病の起こり得ない国として認められている……


アメリカ食肉輸出連合会声明(要旨)

一例も発生していない……

1997年より肉骨粉の牛への供餌を法律で禁止……

ここ11年間監視システムを導入……

食肉処理の前後に全頭に対し、厳しい検査……


■狂牛病の主な発生国(OIE調べ/2001/11)

国/発生数 国/発生数
イギリス          191160 デンマーク           006
アイルランド          756 スペイン            072
ポルトガル           605 イタリア            038
フランス            443 チェコ             002
ベルギー            054 スイス             396
ドイツ             128 スロバキア           003
オランダ            021 日本              003
■狂牛病感染者の主な発生国

国/感染者数
イギリス     107
フランス     003
アイルランド   001


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